テーマ:「肥満になると糖尿病にかかりやすくなる!?」

東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授 門脇孝先生

肥満の割合は増えている!

 肥満の程度を表わすのにBMIという数字を使います。BMIは21~22が最も健康的で標準的な体重と考えられています。
    BMI(体格指数:Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)2
    BMI=21~22 [ 標準値 ]
    25以上  [ 肥満 ]

     日本人は今から30~40年前は和食中心の生活をしていたので、BMIが22程度でした。しかし、最近では肥満の割合が増えており、その傾向は男性で顕著です。現在、日本では成人男性の約3割の方が、成人女性の約2割の方が肥満に陥っています。そして、この50年間で肥満が増えた主な理由は、和食中心から欧米型の洋食の生活を取り入れ、さらに運動不足が加わったものと考えられます。

     

    肥満になると糖尿病にかかりやすくなる

     日本人はもともとインスリンの分泌の出方が悪いという体質を持っています。
     和食中心の生活をしていたので、肥満がなく、インスリンの働きも非常によく、糖尿病にならずにすんでいたのです。ところが、肥満が増え、インスリンの分泌が悪いためにその働きも悪くなって糖尿病が非常に増えています。
     下図は肥満と糖尿病の関係を示したグラフです。20歳代の時点でのBMI(体格指数)からみた肥満の程度が強くなるに従って、また20年間の体重増加量が多くなるに従って、40歳代での糖尿病のリスクが高くなります。

    現在の肥満度別、糖尿病有病者の割合・男性(40~59歳)

    糖尿病予防にはごはん中心の和食が最適!

     糖尿病が増えてきた理由は、和食中心から洋食中心に食生活が変わって肥満が増えたためです。したがって、糖尿病を予防する、あるいは糖尿病になりかけの方が糖尿病の病態をよくするためには、ごはんを中心にした和食の食生活に改めることが最も重要なのです。