テーマ:「ごはん食で糖尿病を防ごう!」

東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授 門脇孝先生

欧米人と日本人のインスリン

 欧米人と日本人ではインスリンの出方が違い、日本人の方が低いということがわかっています。
 欧米人はもともと狩猟民族で肉食や高脂肪食の習慣が数千年も前からありました。高脂肪食をとると肥満が促進され、肥満になるとインスリンの働きが悪くなります。したがってインスリンを出す膵臓(すいぞう)のβ細胞はそれにうち勝とうとして、この数千年の間に欧米人では非常に鍛えられて強くなっているのです。
    β細胞:膵臓にあるインスリンを出す細胞

そもそも日本人は欧米人よりインスリン抵抗性が少なくβ細胞への負担も軽い生活をしていた

 ところが、日本人は農耕民族で、和食、ごはんといった低脂肪食を食べてきました。したがって膵臓のβ細胞はそれほど鍛えられなくても十分に対応できる状態だったのです。その結果日本人のインスリンの分泌量は欧米人に比べて現在50%から75%低いという体質を持っているのです。

インスリンの分泌量と糖尿病の関係

 日本人はもともとインスリンの分泌量が低いのですが、30年ほど前から食生活が高脂肪食の洋食中心に変わってきました。その結果、現在では肥満やインスリンの効きが悪くなるといった状態が非常に強くなってしまい、もともとインスリンの出す能力の悪い日本人が対応しきれなくなり、糖尿病が激増していると考えられています。

糖尿病予防のためにできること

 インスリンを出しにくい日本人は、できるだけ膵臓のβ細胞に負担をかけない食事をとることが必要です。したがって、高脂肪食・洋食のように肥満を促進して、膵臓に負担をかける食生活を改め、膵臓に負担をかけないごはんを中心とした食生活にしましょう。和食に切り替えることが糖尿病予防の最大の秘訣なのです。