テーマ:「肥満予防のためには朝のごはん」

女子栄養大学副学長 香川靖雄先生

摂取カロリーは減っているのに肥満が増えるのはなぜ?

 国民健康・栄養調査によると、国民のエネルギー消費量はもう既に2000kcalを割っています。ではなぜ太るのでしょう?
 1つは、朝食をとらない、あるいは朝食が軽いという食生活の乱れにあります。それから2つ目は、食物の欧風化による脂肪の摂取量の増加があります。そして最後に、運動量が減ったことです。これらが3つの大きい原因と考えられています。

朝食と肥満の関係

 朝食を食べないと、身体はエネルギーの不足を感じとり、夕食や、昼食のエネルギーで脂肪を蓄えておこうとします。
 下図でわかるように、朝食でエネルギーをとった場合は、1日の体重の変動があるのですが、5日間経ちますと朝食は活動のエネルギーに使われていくために体重が減っていきます。ところが同じエネルギーを夕食でとった場合、これは夕食の場合は活動のエネルギーに使われませんのでそのまま肥満につながっていって、体重が増えていきます。

朝食を多くとった場合活動に使われて体重は減ります 夕食を多くとった場合活動に使われないので、体重は増えます。 
 

どんな朝食を食べたらいいの?

 肥満を防ぎ、生活習慣病を防ぐためにはごはんなどのでんぷん質を多くとることが大切です。朝食にはごはんなどのでんぷん質をとり、脂肪のとり過ぎを防ぎましょう。また、たんぱく質などもとって栄養バランスに気をつけましょう。
 われわれ日本人は稲作の伝来以来、お米を数千年間食べ続けてきました。そのために私たちの身体にお米はなじんでおり、遺伝子にも合っています。朝のごはんが活力をアップし、肥満を防ぐのです。