テーマ:「高血圧予防とごはん食の役割」

公益財団法人結核予防会
第一健康相談所 所長 岡山明先生

「高血圧症」とは

 血圧が、最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上は明らかな高血圧とされています。血圧を高いまま放っておくと、脳卒中、心疾患など生活習慣病を招きやすいといわれています。
 高血圧症は、今まで原因不明と考えられていたのですが、最近では生活習慣が高血圧に大きく影響するということがわかってきました。なかでも肥満・運動不足・飲酒・塩分のとり過ぎが原因と考えられています。

高血圧予防のための食事

 最近は、血圧を下げるよい薬がたくさんあります。高血圧の治療中の方は薬をきちんと飲むということが肝心です。しかし、何より大切なのは、高血圧になりにくい生活習慣を身につけて、血圧を上げないようにすることです。なかでも、毎日の食事が一番大切で、塩分摂取は男性9g、女性では7.5gを目標としましょう。
 アメリカの研究でダッシュ研究というのがあります。ダッシュ(DASH)とは “Dietary Approach to Stop Hypertension”「食事から高血圧を抑えるアプローチ」という意味です。この研究によると、脂肪を減らして糖質や食物繊維を増やした食事内容にすると、エネルギーや塩分を減らさなくても血圧が下がるということです。
 高血圧予防というと、日本食は塩分が多いと敬遠される場合がありますが、ダッシュ食は塩分以外では、現在の日本食とほぼ同じ割合です。

DASH食の栄養素

 このような食事をとることで普段の食事と比較して最高血圧で6mmHg、最低血圧で3mmHg下がることがわかっています。

血圧をコントロールするごはん食

 下図のように、血圧は低ければ低いほど、脳卒中をはじめ、循環器疾患による死亡を予防することがわかっています。

脳卒中は血圧を低く保つほど良い

 ごはんに魚、そして、野菜を組み合わせる食事は、まさに世界のめざす健康食といえるでしょう。血圧をコントロールするには、脂肪をとり過ぎないごはん食が有用です。