朝食は、ごはんを主食に!!

高知大学
教育学部教授 針谷順子 先生

 
 20歳代、30歳代の男性は、朝食を欠食する人が、各々約3割、約2割と、他のライフステージに比べて多くなっています(平成18年 厚生労働省 国民栄養・健康調査結果の概要)。
 朝食を欠食しても、昼食・夕食でとればよいように思われるかもしれません。しかし、2食では1日分を充足しきれないので食事全体が不足となり、従って栄養の不足、アンバランスな状態となることが、多くの研究から明らかになっています。また、同じ食事量をとる場合、2食でとるほうが太りやすく、夜、就寝の前に多く食べることも肥満になりやすいのです。
 ところで、忙しい毎日の中で、栄養のバランスや肥満に気をつけながら、朝食を含め、毎食の食事内容はどう考えたらよいでしょう。食品の組み合わせで考えるとなかなか大変ですが、それを料理の組み合わせで考えるとカンタンだと思います。料理は主食、主菜、副菜という3つの料理で考えます。
 主食というのはごはん、パン、麺などを主材料とする料理で、主として炭水化物の供給源です。他の料理をつなぐ役割、リード役を担っています。主菜は、卵や大豆、魚、肉などを主材料とする料理で、主としてたんぱく質・脂質の供給源となります。副菜は、野菜や芋などを主材料とする料理で、主として各種ビタミンやミネラル等の供給源です。この主食、主菜、副菜の3つの料理を上手に組み合わせると、栄養素のバランスがよくなります(図1)。
 ごはんは、味が淡白で、どんな食品とも、また、どんな味の料理ともうまく合うので、ごはんが主食のときには、主菜、副菜が揃いやすいことがわかっています。一人暮らしの大学生の調査結果でもごはんが主食のときには、3.1品の料理が揃います(図2)。
 このような特長をもつごはんを主食にすることから、食事を考えてみてはいかがでしょうか。
 朝、時間がなかったり、カンタンにすませたかったりするときは、まず、おにぎりやおかゆなどから始めてみましょう。また、豆腐や納豆、干物、卵など、ごはんにぴったりで、保存性に優れ、かつインスタント性の高い食材を上手に活用するのもよいでしょう。そして、徐々に主食、主菜、副菜の3つの料理が揃う食事をイメージしていくとよいかもしれませんね。
 以上は、食事の栄養や健康面のことですが、朝食は共食のチャンスです。朝は夜よりも家族が家にいることが多いので、家族で一緒に食べる(共食)機会になります。家族とのコミュニケーションをはかりながらおいしく食べること、食や健康、食事の整え方などの情報交換やスキルの習得の場にもなります。これらのことから、朝食は1日のうちでも大切にしたい食事です。

  (図1)

主食(ごはん)・主菜・副菜が揃うと栄養素のバランスがとれる

  (図2)

ごはんが主食だとおかずが揃いやすい

出典:針谷順子、泉 朋恵:「主食3・主菜1・副菜2弁当箱法」の異なる主食形態への展開−パンと麺を主食とした一食量の適量の検討−高知大学教育学部研究報告,第67号,2007年3月