現在、「すし」といえば、大体にぎりずしのことです。生の魚とすし飯を組み合わせたにぎりずしは、日本特有の食べ物です。それが今では、健康食として世界的に知られ、アメリカをはじめとして海外でも人気が高くなっています。「すし」は、特別な日に食べる郷土料理として発達し、押しずし、巻ずし、ちらしずしなど、その土地ならではの材料を使ったさまざまな「すし」があります。


すしの歴史
すしは「酢し」、つまり、すっぱいものという意味からきた言葉で、「鮨」、「鮓」、などの漢字が用いられます。魚の字が使われているのは、「すし」が魚の保存方法から生まれたからです。
弥生時代

なれずし すしのルーツは、東南アジアの「なれずし」といわれています。魚を長く保存するために、塩づけにしてからごはんの中に何か月もつけこみ、すっぱくなった魚だけを食べました。滋賀県の郷土料理「ふなずし」は、この「なれずし」です。
室町時代

生なれずし ごはんに少しすっぱみがでるくらいの短期間(2週間〜1ヶ月)でつけ、魚ばかりでなくごはんも食べる。つけこむ材料も、魚や野菜など、種類も広がり、また、ごはんを主とするすしへと発展していきます。
江戸時代・中期

早ずし 江戸時代になると、はじめからごはんをすと塩で味付けして、魚などをのせて一晩重しをし、味をなじませてから食べるようになりました。作り方から「押しずし」ともよばれました。
江戸時代・後期

にぎりずし おいしいすしを早く食べたいということで、酢めしを手でにぎり、具をのせて、にぎりたてを食べるようになりました。今のにぎりずしとちがい、上にのせる具は、しょうゆやすにひたして味をつけていました。


ワンポイント豆知識
すしのおいしさは、すし飯に左右されるんだ。そのたき方や味の加減を“しゃり加減”といい、ごはんたきは、しゃり屋とよばれる職人の仕事だったんだよ。合わせずの作り方は地方によってかなりちがい、例えば、東京風のすし(江戸前ずし)はあまみが少なく、関西ずしはあま口なんだ。ふつう、いなりずしなどの冷めてから食べるすしは、すし飯がバラバラにならないよう砂糖を使うんだよ。


おいしい作り方
●「すし飯」を作ってみよう!
すし飯は、たきたてのごはんと合わせず(※)を混ぜるタイミングがポイントです。合わせずは、ごはんが熱いうちに手早く混ぜます。すし飯をたく時の水の量は、ふつうのごはんをたく時と同じか、やや少なめが目安。こんぶは水といっしょに最初から入れ、おいしさを出します。
作り方(材料はおよそ4人前)

(1)米3カップを洗い、水3〜3 1/3カップの水にこんぶ(10 cmぐらい)も入れて、30分以上吸水させる。 (2)ごはんをたく。スイッチが切れたら、10分ほどむらし、炊飯器からすしおけにごはんを一気に移す。
(3)ごはんが熱いうちに、合わせずをふりかけ、少しむらす。 (4)木しゃもじですし飯を切るように混ぜながら、うちわか扇風機で手早く冷まし、ごはんにすの味をなじませる。
※「合わせず」の分量と作り方
 す:大さじ4〜4 1/2 砂糖:大さじ1 1/2 塩:小さじ1 1/2
 “す”に砂糖と塩を入れ、温めてとかし、味をなじませておく。