テーマ:「介護食としても有効なごはん食」

筑波大学人間系教授 飯島節先生

要介護高齢者の栄養管理のポイント

現在、日本では人口の急速な高齢化に伴い、介護を必要とする高齢者も増え続けています。介護の必要な高齢者の栄養管理では、一般成人の方と異なる問題点があります。現代の一般成人ではもっぱら栄養の過剰摂取が問題となるのですが、介護が必要な高齢者では逆に、たんぱく質低栄養状態と呼ばれる栄養の不足のほうが問題となります。もう一つは、摂食嚥下障害です。これが低栄養、脱水、肺炎などの重大な病態の誘因となるのです。
    摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)
    目の前の食物を口に運び、それをよく噛んで飲み下すまでの一連の機能の障害

多くの介護老人保健施設で認められているごはん

 介護を必要とする高齢者の食事では、食べ物の好き嫌いはもちろんのこと、食べやすさ、飲みやすさ、それに栄養のバランスなどを考えることが大切です。そこで、関東甲信越地方の介護老人保健施設でどのような食事が提供されているか調べたところ、主食はほとんど毎日ごはんという施設が圧倒的に多いことがわかりました。

毎食 米飯を主食としている施設数

ごはんは要介護高齢者にも最適!

 ごはんは、エネルギーとたんぱく質の両方を補給できるすぐれた主食です。塩分や脂質をほとんど含まないことから、高血圧や糖尿病、あるいは心疾患などをもっている高齢者にも最適です。
 また、ごはんは、白飯としてばかりでなく、おにぎり、炊き込みごはんなどにすることによって他の栄養素を取り込むこともできます。つまり、さまざまな調理法で他の栄養素を取り込めるのです。
 さらに水加減によって、おかゆ、おもゆなど、自由に形態を変えることのできる特異な性質をもっています。このようなことから、ごはんは介護が必要な高齢者にも安心して召し上がっていただくことのできる食べ物といえるでしょう。