テーマ:「日本のごはん食の良さ」

神奈川県立保健福祉大学学長 中村丁次先生

ごはんは日本人の主食

 国によって、いろいろな食事がありますけれど、日本人には、ごはんを主食にするという独特の食習慣があります。欧米にもメインディッシュという考え方はあるのですが、メインディッシュというのは、たとえば、今日は魚料理にしようかとか、肉料理にしようかというように毎食、食品や料理法が異なってくるわけです。主食という考え方は、ごはんという食品を同じ調理法で毎食のごとく食べ続ける。このごはんを中心におかずを組み合わせるという食べ方です。これは、日本人独特の食べ方と考えられるのではないでしょうか。

ごはんを主食にすることの良さ

 欧米食のメインディッシュになっている肉料理には、脂肪が多く含まれています。一方、主食であるごはんには、脂肪が少なく、主成分は炭水化物です。近年、肥満の研究から、脂肪の摂取量が多くなってくると、肥満の誘因になることがわかってきました。主食であるごはんに脂肪が少ないと同時に、ごはんに組み合わせる魚料理や野菜の煮物など、これら和食には、脂肪が少ないために全体として低脂肪食になります。
 肥満が心配な欧米では、健康的な食習慣のモデルとして、ごはんを中心とした和食が見直されています。
 ところが、逆に日本では、毎食ごはんを食べる人たちが少なくなり、食卓の欧米化が進むにしたがって、肥満は増えてきています。肥満と生活習慣病がじわじわ増加しながら、それでも、欧米の増加率と比べるとブレーキがかかっています。その原因は、実はごはんです。左手にお茶碗、右手のお箸でごはんとおかずを食べるという、日本独特の食習慣は、肥満予防、そして生活習慣病予防のためにも、決して手放してはいけない食事スタイルといえます。

ごはんを主食にすることの良さ