テーマ:「中高年女性の骨粗しょう症予防のためのごはん食の役割」

大阪市立大学学長兼理事長 西澤良記先生

女性に多い骨粗しょう症

 骨の量が減少して、骨が折れやすくなったり、腰が曲がったり、身長が縮んでしまうという骨粗しょう症は、圧倒的に女性に多いといわれております。
 骨粗しょう症というのは、年齢とともに骨をつくる能力が次第に低下して、そして骨の量が減ってくるということですが、これは、男女とも平等に減っていきます。ところが、下記の約12,000人のデータをみますと女性においては、40歳代の後半から骨の量が減り始めて、70歳代以降になると、50%の人が骨粗しょう症になっています。

女性の70歳以降は50%が骨粗しょう症

 骨粗しょう症は、骨のぜい弱性のための骨折がある場合や骨塩量が若年世代の平均値より30%減少した場合をいいます。20%以上減少する場合は骨粗しょう症の予備軍と考えて骨減少といいます。
 この図は、日本の女性は57歳くらいで半数の人が骨減少となり、73歳で半数の人が骨粗しょう症になっていることを意味しています。 この理由として、女性ホルモンであるエストロゲンと骨量とは関係が深いということがわかってきています。
 

エストロゲンと骨の関係

 エストロゲンは女性ホルモンで、骨からカルシウムを出るのを防ぐ働きがあり、さらに、骨をつくる作用を高めるといった働きもあります。そこで、女性の場合、40歳代の後半くらいから、そのエストロゲンの分泌が弱くなってきて、閉経を迎えますと、エストロゲンの保護作用が途絶えてしまい、骨の量がどんどん減っていくということになるわけです。

骨粗しょう症の予防

 骨の量の減少を最小限にくい止めるには、食事、運動、それから薬というようなものがあります。食事では、骨の量とカルシウムの摂取量というのは関係が深いので、中高年の方もカルシウムを十分にとって毎日のカルシウムをマイナスにしないということが大切です。 そのためには、効率よくカルシウムを吸収する食事が大切になります。食事の内容によって、カルシウムの吸収が異なるというデータが知られております。脂肪を主体とするような食事、たんぱく質を主体とするような食事、糖質を主体とするような食事で比較してみると、糖質を主体としたような食事が一番効率よくカルシウムを吸収するということが知られています。

糖質を主体とした食事はカルシウム吸収が効率的

 つまり、和食のメニューによって毎日のカルシウムをとることが効率よく現実的な方法だと思います。和食の特徴は、糖質食品であるごはんが主食で、魚料理が多いということがあげられます。いずれも、これらはカルシウム吸収を促進するのです。