テーマ:「生活習慣病にならない効果的なごはんの食べ方」

東京大学名誉教授 細谷憲政先生

生活習慣病の原因とは

 現在の日本では、生活習慣病で悩む人が急増しています。生活習慣病の原因は、生活様式の洋風化に伴い、食生活において、炭水化物の摂取が著しく減少した反面、動物性脂肪の増大したことがあげられます。これに、身体活動の低下、ストレスの増大が影響しています。

生活習慣病にならない効果的なごはんの食べ方

 私たちの身体は、食事としてとる食べ物の栄養成分によって、常に置き換えられています。この置き換えは、年齢によって異なり、また、その人の生活習慣によっても異なってきます。
 一方、食べ物の栄養成分は、調理の仕方によって質的な変化が起こり、また、食べ方によって、利用効率は異なってきます。利用効率とは、自動車のガソリンの燃焼比率(ネンピ)がよいかどうかということと同じ意味のことです。そして、食べたものが人体によい影響を与えることを、「栄養の質」が向上したと呼んでいます。
 日本人の主食は、ごはんですから、まず、ごはんの利用効率をみてみることが大切になります。ごはんは、炊飯の仕方、またいろいろな食材などと、たとえば、酢や牛乳などと、付き合わせたり、混ぜ合わせたりすることによって、胃からの排出や消化・吸収の状態が異なってきます。その結果、図1のように、ごはんだけを食べたときよりも、食後の血糖を上昇させることなく、十分な量を効果的に体内に取り入れて利用することができます。

ごはんを基準にした血糖上昇指数
【図1】

ごはんを中心に、その人の身体のためになるものを上手に食べる!

 百歳老人やお年寄り、また中年の方でも、普通のごはんでは、それほど食べられない人が、にぎり寿司や五目寿司だと一人前ペロリと食べています。また、酢と付き合わせたりすると、普通のときよりも、倍量のごはんが食べられます。そして、元気に、身体を動かしています。
 ですから、生活習慣病に掛からないためには、身体にたまって、生活習慣病を引き起こす動物性の脂肪を差し控え、ごはんを中心に、その人の心身の状態に見合った効率のよいものを程々に、食べることです。