テーマ:「米の栄養成分とその働き」

東京農業大学応用生物科学部教授 高野克己先生

米(ごはん)の栄養成分

 私たち日本人の主食であるごはん、毎日あたり前のように食べ続けていますが、いったい、ごはんについて、どのくらいのことを知っているのでしょうか?
 米(ごはん)には、体に必要な様々な栄養成分が含まれています。
 主成分は、脳や体のエネルギーになる炭水化物ですが、その他に、筋肉や血液などの体の基本を作るたんぱく質も含まれています。米(ごはん)に含まれるたんぱく質は、他の穀類に比べると、非常に栄養価が高く、さらに、亜鉛などのミネラル類や食物繊維も含まれています。

米(ごはん)の炭水化物の良さ

 米(ごはん)に含まれる炭水化物は、難消化性でんぷん、非常に消化されにくいでんぷんです。レジスタントスターチとも呼ばれていますが、これは体内に入ると、食物繊維と同じような働きをするという優れものです。
 レジスタントスターチの効用の1つ目は食べ過ぎを防ぐ。ごはんがお腹の中に入ると、水分を含んで膨れるので、消化酵素の作用を受けにくくなり、過剰な糖の吸収を防げます。2つ目は、急激な血糖値の上昇を防ぐ。水分を含んでゲル状になって非常に膨れますから、消化がゆっくり行われるので、当然吸収もゆっくりになり、血糖値が急激に上がらなくて済む。3つ目は、腸内環境を整える。我々の健康には、腸内のビフィズス菌というものが関わっているということが、よく知られていますが、ビフィズス菌が育つ環境を整えてくれる働きがあります。
 そして、4つ目は、腹持ちの良さです。でんぷんを含む食品は、米(ごはん)だけではなく、他の穀類やイモ類などにも含まれていますが、粒として食べるのは、米(ごはん)だけです。ごはんの場合は、細胞壁がしっかりしていますので、細胞壁を壊すのに時間がかかる。そのため、消化がゆっくり、ゆっくりと行われるので、腹持ちが良いということになります。
 このように米(ごはん)は、優れたところがたくさんありますので、もう一度米(ごはん)の良さを見直して、健康的な食生活を送ることが大切だと思います。