阿南市水田農業振興協議会
阿南市地図地域の概要

 阿南市水田農業振興協議会(以下「協議会」という)の管轄する地域は、阿南市の行政区域と同一である。阿南市は徳島県の南東部に位置し、四国最東端の市町村であり、東は紀伊水道、南は太平洋に面し室戸阿南海岸国定公園の北端にある。北は小松島市、勝浦郡勝浦町、西は勝浦郡上勝町、那賀郡那賀町、南は海部郡美波町に接している。
 市域は総面積279.39ku、人口約7万6千人で、県内一長い河川の那賀川河口があり、市内を桑野川が貫流している。広い沖積平野と温暖多雨な恵まれた気象条件を活かし、早期水稲(早場米地帯)を中心に施設野菜・トンネル人参・たけのこ等の野菜及びみかん・すだち等の果樹栽培が盛んであり、洋ラン等の花き栽培が行われている。
 協議会管内の農家戸数は約3,660戸、うち稲作農家戸数は約3,000戸、全耕地面積4,952ha、水田面積3,456ha、1戸当たり平均水田面積約1.0ha(但し、中山間地域は0.5ha)、平成21年度の水稲作付配分面積は2,464ha、生産調整配分面積992ha(転作率:28.7%)である。
 管内の農業算出額(平成21年度)は約50億円あり、そのうちベスト3は、1位が野菜36%、2位が果樹28%、3位が米26%で、この3つで全体の90%を占めている。
 農家の専業・兼業比率については、専業が5%、兼業が95%となっている。兼業者の勤務先は、地元の阿南市、徳島、鳴門市を中心とした民間企業が多い。

取組内容

(1)体制づくり

田植え風景(JAあなん提供) 阿南市は、昭和29年から昭和30年にかけて8か町村(富岡町、中野島村、宝田村、長生村、大野村の一部、加茂谷村、見能林村、桑野町)が合併・編入し富岡町に、昭和30年に4か町村(橘町、新野町、椿町、福井村)が合併し橘町になり、昭和33年5月に富岡町と橘町が合併し同時に市制施行し阿南市が発足し、平成18年3月に那賀川町と羽ノ浦町を編入し、新生阿南市となり現在に至っている。
 一方、協議会を構成するJAあなんは、平成3年9月に5JA(JA阿南市、JA阿南大野、JA加茂谷、JA桑野、JA橘町)が合併し新生のJA阿南市となり、また、平成9年4月に3JA(JA福井、JA椿、JA新野)と合併し、更に、平成13年7月にJAなかと合併し県下で最も広域なJAとなったことから、現在、JAあなんの管轄区域には、2つの地域協議会(阿南市、那賀町)が存在している。
 なお、新生阿南市の誕生時期(平成18年3月)より広域のJAあなん誕生時期(平成13年7月)の方が早かったため、阿南市の現在の管轄区域である旧那賀川町と旧羽ノ浦町は、「JA東とくしま」に所属したままである。そのため、阿南市には2つのJA(JAあなん、JA東とくしま)が存在している。
 「協議会」の会長にはJAあなんの組合長が、副会長には阿南市の産業部長が就任している。
 事務局は、阿南市産業部農林水産課とJAあなんの営農部営農振興課が連携して担っており、事務局長にはJAあなんの営農振興課長が就任している。
 また、協議会は、市、JA、農業委員会、土地改良協区、農業共済組合、生産者代表で構成されている。

(注)中四国農政局徳島農政事務所と徳島県阿南農業支援センターがオブザーバー参加している。

(2)生産面での取組

小麦の収穫風景(JAあなん提供) 米の品種別作付比率(平成21年産実績)は、コシヒカリ:70%、キヌヒカリ:25%、その他:5%となっており、需要の動向に応じた計画的・戦略的な米生産の推進と「温暖な気候で早期出荷が可能」という地域の特色を生かした「売れる米づくり」に努めている。特に、早期出荷の阿波美人(コシヒカリ)はブランド米として確立している。
 野菜は、たけのこ、ハウストマト、ハウスふき、ハウスきゅうり、細ネギ、いちご、チンゲンサイ、洋人参、カブ、ブロッコリー等を重点作物として生産に取り組んでいる。
 麦、大豆も転作作物として一部で作付されているが、作付規模は小さい(小麦:約10ha、大豆:約3ha)。
 なお、平成22年度の戸別所得補償制度は、管内が早場米地帯で、制度の中味が決定した時には、田植えがほぼ完了していたこともあり、加入率は低い結果となった(10%以下)。

取組結果

(1)成果

 生産調整は、行政とJAとが連携して推進しているものの、中山間地域では100%達成しているが、平坦地では未達成であるため、全体では未達成となっている。平坦地では、湿田が多く転作作物が限られるため、配分以上の米の作付が行われる傾向にある。
 担い手については、平成22年10月末現在で、認定農業者として114経営体が登録されており、うち6組織(1集落営農組織+5大規模農家)が担い手として認定されており、地域農業推進の核となっている。集落営農は13集落で組織されている。
 うち、農事組合法人「しげとも」は、阿南市の南西部新野町重友地区にあり、徳島県下第1号の集落営農組織として法人化され、現在もその活動を行っている。
 同地区は周囲を小高い山に囲まれた中山間地域で稲作を中心とした兼業農村地帯であるが、西重友地区が42戸約29ha(昭和42年〜44年に基盤整備実施)、東重友地区が29戸約15ha(平成元年〜4年に基盤整備実施)、合計71戸約44haある。
 このうち、46戸約22haが平成17年12月2日に「農事組合法人しげとも(特定農業法人)」を設立し、水田農業を中心とした地域農業の確立に貢献している(水稲+転作の小麦+園芸作物(ブロッコリー等))。
 生産調整に係る助成金(産地確立交付金の協議会の設定単価/10a)については、麦・大豆の場合、平成21年度では基本額20千円+担い手加算20千円=40千円であり、平成22年度(水田利活用自給力向上事業の単価/10a)は、麦が47千円、大豆が51千円となっており、前年度以上の水準を確保している。

(2)今後の課題

  • ア.転作作物について、麦・大豆は土地利用型作物として生産拡大が図られているが、管内地域は湿田地帯であり雨が多いこともあり、平坦地の大規模な作付には向かない。
    湿田には飼料用米や新規用途米が作付に適しているが、定着させるには需要先の確保が課題となっている。
  • イ.生産者のうち、65歳以上の比率は現在約80%であるが、年々高齢化が進んでいる。当面は兼業農家がいるので大丈夫であるが、兼業農家も老齢化してしまった場合、農業生産を地域でどのように支えて行くのかが課題である。
  • ウ.戸別所得補償制度について、平成22年度は大半の生産者が推進する前に田植えが完了していたため、平成23年度は、早期推進が必要である。
    しかし、一方で中山間地域には小規模農家(0.5ha以下)も多く、加入のメリットが少ないため、如何に加入者の上積みを図るかが課題である。

2011年度「お米の需給調整システム事例集」 トップへもどる

米ネットトップページへ


制作・著作 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
このホームページに掲載の文章・写真・動画像
および音声情報の無断転載・転用を禁じます。