女子栄養大学副学長
自治医科大学名誉教授 香川靖雄 先生

 
朝ごはんで、脳を活性化し、集中力アップ
 皆さんはきちんと朝食を食べてますか? 20代の女性では週2〜3日食べない人も含めると、朝食を食べない人は約31%。たかが朝食・・・と考えている人もいるかもしれませんが、実は朝食の有無で集中力がまったく異なってくるのです。図のように、記憶テストでは、朝食をとると、とらなかった場合に比べて集中力が高まり、反応時間が短くなりました。これは個々の能力で差がついたのではありません。同じ人に今度は、糖分を摂取させてみると、朝食をとった場合と同様にテストの成績があがったのです。つまり、同じ人でも、朝食の有無によって、集中力は変化するのです。それは、朝食をとると、体温や心身の活動力が上がるからです。そして、朝食の中でも、特にでんぷん質を多く含むごはんを主食とした食事は、脳のエネルギー源である、ブドウ糖を供給します。脳のエネルギーには、他の臓器のように脂肪が使えないのです。集中力を高め、仕事をテキパキ片付けるためにも朝は、ごはんをきちんととりましょう。
朝食をとると頭の回転が速くなる
 
 
朝ごはんを抜くと太る?!
朝食を多く取った場合と夕食を多く取った場合の体重増減対比図 朝食にごはんを食べない理由によく挙げられるのが「食べる時間がない」「食欲がない」「朝食を食べるより寝ていたい」などです。なかにはダイエットのために朝食をとらない人もいるようです。きっと朝食を食べない分、やせられると考えているんでしょうね。でもそれは間違い。実は心身の活動を低下させてしまうのです。朝食をしっかりとった場合、そのエネルギーは日中の活動に使われるため、体重は次第に減っていきます。ところが朝食を食べないと身体は栄養の不足を感じとり、体内に脂肪を蓄えておこうとします。そのため、同じカロリーの食事を夕食でとると、そのまま体重増加に繋がってしまうのです。やせるどころか、むしろ太ってしまうんですね。 朝食にはごはんなどのでんぷん質をきちんととり、脂肪のとり過ぎを防ぐことが大切です。日本人は稲作の伝来以来、お米を数千年間食べ続けてきました。そのため私たちの身体にお米は馴染んでおり、遺伝子にも合っているのです。行き過ぎたダイエットで栄養のバランスを崩し、健康を害することのないようにしましょう。