日本には、古くからもちを食べる習慣があります。もちには神様が宿っていると考えられ、お正月や節句、誕生祝いなど、季節の行事や祝い事の「ハレの日」の特別の食べ物でした。今でも、季節の行事などにもちを食べる習慣が残っています。


もちの歴史
日本での「もち」の歴史は古く、稲作の伝来とともに伝わったと考えられています。平安時代になると、白い「つきもち」のほかに、だいずやあずき、ごまなどの材料を加えたもちや、米の粉を用いた「ちまき」のような「粉もち」などが作られています。
鏡もち

鏡もちの名は、鎌倉〜室町時代から使われ始めましたが、平安時代にはもち鏡とよばれていたといいます。古来、鏡は霊力を備えたものとしてあつかわれていて、もちは神聖な力がこもる食べ物と考えられていました。そのもちを神の宿る鏡に見たてて形作ったといわれています。お正月にかざる鏡もちは、おとずれた年神(としがみ)が宿るとされ、「お供えもち」や「お雑煮」の習慣とともに、現在でも、お正月の代表的行事になっています。
力もち

江戸時代にはもちを年中行事などにも作って祝うことがいっぱんの人々の間にも広まり、諸国の街道筋(かいどうすじ)では食べると力がつくという「力もち」のような名物もちが売られるようになりました。


ワンポイント豆知識
もちにするのは「もち米」という種類の米です。精米されたもち米は真っ白で、調理するとねばりがでます。もち米は、もちばかりではなく、赤飯やおこわなどとしても使われます。


おいしい作り方
●おいしい「もち」をみんなで作ろう!
もちは、もち米をむしてつきつぶし、いろいろな形にしたものです。最近では電気もちつき機も使われるようになりましたが、昔ながらにうすときねでついたもちのおいしさは格別です。家族や近所の人たち、友だちもいっしょになって、楽しいもちつきをしてはいかがですか?

(1)もち米(1うす分2kg)は、水が透明になるまでよく洗い、一晩、水にひたして十分に水をすわせておく。 (2)せいろでむす。電気やガス、まきなど熱源によってちがいますが、およそ20分くらいでむし上がる。
(3)むし上がる前に、少量の水を全体にパッとかける(打ち水)。 (4)もち米をうすに入れ、つくときに米つぶが飛ばない程度にまで、きねでこねる。
(5)もちをつく。きねをふり下ろす人との呼吸をあわせることが大切。きねが持ち上がるたびにこねる人が手に水をつけ、もちを返す。むらなく熱いうちに手早くつき上げる。 (6)つき上がったら、とり粉(米の粉)をまぶして好みの形にする。
もち米2kgで、のしもち1枚ができる。切るときは、1〜2晩おいて、
ぬれぶきんでほうちょうの刃をしめらせながら切るとよい。
「からみもち」 小さくちぎって、しょうゆを加えただいこんおろしをからませる
「あんころもち」 ちぎったもちに、あずきあんをまぶす。
「納豆もち」 納豆を少したたいてつぶすか、きざむかして、しょうゆとねぎなど好みの薬味を加え、もちにからませる。
「きな粉もち」
(あべかわもち)
きな粉に砂糖と塩少々を混ぜ、もちの上からかける。