「どんぶり(丼)もの」は、温かいごはんに調味した具やしるをかけたごはん料理です。手軽に作れ、それでいて味も多彩です。


どんぶりものの歴史
どんぶりばちが食器としてよく用いられるようになったのは、江戸時代の後半のことです。最初は、おかずやおかしを盛る器として使われていましたが、19世紀の初め、おそば屋さんがかけそばなどの器としてどんぶりばちを使い始めました。
やがて、うなぎ屋さんでも、どんぶりばちを使った「うなどん」を提供し始めました。そして「天どん」が考えられ、「親子どん」は明治の初期に東京に登場しています。
明治・大正時代になると、欧米の食文化が取り入れられ、牛肉・ぶた肉も食べるようになり、「牛どん」などが登場しました。「かつどん」は、昭和10年ごろから盛んに食べられるようになりました。


ワンポイント豆知識
●どんぶりもののルーツは室町時代の「芳飯(ほうはん)」
芳飯とは、ごはんの上に、味付けした具をのせた「かざり飯」のこと。もともとは、お寺の精進料理(肉を用いない料理)で、野菜などを細かく切って味をつけ、白、黄、赤、緑、黒の五色の具をごはんの上にきれいにかざり、すましじるをかけて食べていたんだ。


おいしい作り方
●「どんぶりもの」のいろいろ
最初に登場したのは、うなぎどんぶり。当初は「うなぎ飯」といわれ、芝居小屋で食べるためにつくられたのが始まりとされています。あたたかいごはんの中にうなぎのかば焼きをうずめたものでした。
うなどん
温かいごはんにうなぎのかば焼きをのせたもの。

天(ぷら)どん
温かいごはんの上に天ぷらをのせ、かけじるをかけたもの。

牛どん
牛肉のにこみを温かいごはんにかけたもの。

親子どん
しょうゆで煮たとり肉をとき卵でからめて温かいごはんの上にかけたもの。

木の葉どん
かまぼこのうす切り、しいたけ、みつばなどをとき卵でとじてごはんの上にのせたもの。

かつどん
外国の料理を使ったどんぶりものの始まりで、温かいごはんの上にとき卵をからめたとんかつをのせたもの。

鉄火どん
まぐろのさしみとわさび、もみのりをすしめしの上にのせたもの。鉄火まきの応用といわれています。

●最近のおいしくて楽しいどんぶりメニュー3品
まぐろ・納豆・オクラ・卵黄・たくあんの「五色どん」 「さけときのこのクリーム煮どん」(洋風) 「鶏ささ身のから揚げどん」
塩もみにしたオクラとたくあんづけ、ひきわり納豆、まぐろ(ねぎトロ用)をのせて中央に卵黄を。好みでわさびをそえ、しょうゆをたらす。 さけのソテー、しいたけ、玉ねぎ、アスパラガスをいためて、固形スープの素、ワインでむし煮。マヨネーズと牛乳で仕上げる。 鶏ささ身をうすく切ってたたきのばし、軽く塩とこしょうを。なす、ピーマンといっしょに油であげて、にんにく・しょうが味のあんかけをかける。